息を深く吸って、細くゆっくりと吐く

一日に一度
息を深く吸って、細くゆっくりと吐く。

何かが、整う。

煙草を吸って仕事部屋へ戻ると
熱気と湿気で、クラクラする。

そこがおれの戦場なのだ。

来月、兵士は半分に減る。
敵は増え続ける。

飛び乗った終電の満員電車には
やはりネガティヴな顔をした同類たちがいる。

彼等は何を想っているんだろう。
おれもきっと、こんな顔をしているのだろうと思い
ふと窓ガラスを見つめると
見慣れない男が立っている。

ああ、そうか。
最近、鏡もあまり見ていない。

帰宅すると嫁はいつも明るく
マシンガントークで俺の神経を疲弊させるが
そのおかげで、なぜか、元気が出てくる。

息を深く吸って、細くゆっくりと吐く。
不整脈が落ち着く。
ねぐらはやはり安心する。

明日もコンクリートを踏みしめて
元気に仕事をしにいこう。