黒炭を押し付ける

大学五年生の頃

金が無くて遊びにも行けず

というか、なけなしの金はパチンコですってしまい

酒はトリス・ウイスキーになり

飯は、米と味噌汁と沢庵になった。

 

バイトの金がでるのはまだまだ先だ。

 

暇つぶしのゲームも飽きた。

ネットサーフィンも飽きた。

 

だから、鉛筆とノートで稚拙な漫画を書いてみた。

高校時代は将来漫画家になりたいと思ってたから

なんとなく漫画を書いてみたのだが

これが、その時の心境に妙に合って

面白くてたまらない。

 

セブンイレブンで買ったノートに

あっという間に漫画ができた。

 

二冊目をかって、また、新しいストーリーを書いた。

 

青春物語。

将来が不安でつぶされそうで

彼女が欲しくて寂しくて

ギターを弾いて思いを吐露する

 

そんな主人公と友人の話ばかりを書いた。

 

 

まだ、そのノートは残っていて

時折、目を通すのだが

(律儀に何年何月にこのページを書いた、ってのを、メモっているから、なかなか面白い)

 

それをみて思うのは

あまり、成長してないんだなということ。

 

黒炭をノートに押しつけて

なにか答えを得ようとしていた

若い時代を肴に

白州を舐めている。

 

すこし、最近怠けているな、もっとがんばろうかな、なんておもいながら

週末は静かに過ぎてゆく。